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継手・仕口について

限られた寸法の本材を組み合わせたり、繋げてゆくのが継手仕口の目的です。継手仕口は取付場所、目的によってたくさんの方法があります。

突き付け

あまりにも基本的な形。単に二材を突き合わせるためなので、これだけではつながらない。釘打ちなどの方法によって単独で用いられることもある。見た目の単純さ、美しさを意図して、見える側の表面を突き付けに見せる工夫をしたさまざまな継手がある。

殺ぎ(そぎ)

見え掛かりを重んじ、継き目を美しく安定した感じに見せるため、造作材を支承材のない箇所で継ぐときに用いる。また、接合二材の荷重を支承材へ伝え、釘一本で縫い打つことのできる利点によっても用いられる。

留め

L型の接合部に古典的な仕口形。二材の勝ち負け(どちらかの材が通ること)を見せたくない場合、つまり接合二材が同格ともいうべき材である場合に使う。また、接合二材を支承材上へバランスよく納める場合にも用いられる。

相欠き

殺ぎと同様に支承位置で接合二材を釘によって縫いとめるときに用いられる。また、十字に交叉する部分では、同じ寸法の二材を同じ高さに納めようとするとこの方法をとらざるをえない。しかし、欠損部分が大きく、引っ張り力がもてないの欠点。

略鎌

この方に目違いを組み合わせてつくる追っ掛け継ぎや金輪継ぎは、強度があり、構造材に使われる。中世初期には柱の欠損を最小限度におさえながら、交叉する貫を柱内に納める技法だった。

目違い

単独で用いられるほか、他のさまざまな基本的な形と組み合わせられた例があり、化粧材の狂いのおさえ、構造材の補強、ずれ方向の制限などの多様な役割を担っている。

竿

一般に車知と組み合わせて使用。鎌継ぎと同じようなはたらきをするが、鎌継ぎのように材を上から落としこむ方法がとれない場合、また造作材で継目を目立たせず、美しく見せる場合に用いられる。鎌の引っ掛かり部分を車知栓によって置き替えた形。

ほぞ

引っ張りに対して無抵抗なほかは、どの方向にも抜けない形となっている。そのため引っ張りの力を受けることが少なく、むしろ上部からの荷重によって圧縮されるL型、T型接合部の部材に用いられる基本的な形。

引っ張りに抵抗する形をとっているものの、鎌などに比較して強度的にはさらに弱い。仮止め的な意図で軸部材の継手として使用。仕口の場合には、接合の長さが十分にとれないためと思われるが、この蟻の形が用いられることが多い。

略鎌系の追っ掛け継ぎなどにくらべると強度的には劣るが、構造材の継手にごく一般的に見られる。法隆寺金堂の継手にも用いられている古くからの形である。

腰掛け

蟻継ぎや鎌継ぎにいて、支承位置の外で継ぐときなどに補強的な意図で用いられる。形は相次ぎに似ているが、奥行きが浅く、他の形と組み合わせて使用。

栓・車知・楔雇い

他の基本的な形による接合部分に、接合二材を完全に組み固めてしまう場合におおむね用いられる。雇いは二材の接合に、第三材を使って接合する技法。たとえば蝶結びのような形の第三材による雇いの技法は契り蟻と呼ばれている。施工の手・順上の理由から、あるいは蟻や鎌をつくりだしにすることが不経済なときに用いられる。